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実家の空き家対策 話し合いは親が元気なうちに

2022/11/19

11/6(日) 7:30 産経新聞

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庭に雑草が生い茂り、荒れ果てた状態となった空き家=空家・空地管理センター提供

「親の介護施設入所をきっかけに実家が空き家になってしまって困っている」-。高齢化などを背景に、全国的に空き家の増加が問題となるなか、こうした相談が、空き家管理などを手がけるNPO法人に寄せられている。維持には固定資産税などの経済的負担も伴うが、新型コロナウイルス感染対策で、施設にいる親との意思疎通が制限され、話し合いが進まないケースも。空き家対策には、所有者である親と相続者となる家族とで早い段階で話し合い、どう対応するかを決めておく必要がありそうだ。(植木裕香子)

「母親が健在で手遅れにならないうちに対処したので、実家が長期間空き家になることを避けられた」

2年前、持ち家の一戸建てで1人暮らしをしていた実母が高齢者施設に入所するのを機に、空き家となった実家の売却を決めたという茨城県内に住む女性は、当時の状況をこう振り返る。

所有権を持つ実母が認知症などを患う前に、実家を処分する承諾を得られたことで、売却が想定していたよりも円滑に進んだとの思いがある。

■かさむ維持管理費

空き家の維持管理にかかる費用の負担は、決して軽くない。

固定資産税に加え、マンションの場合は管理費などの支払いが必要となる。一戸建ての場合、近隣トラブルを回避するため、庭木の剪定(せんてい)費用などがかかる。また管理を任された家族らが、片付けや掃除をする際に使う電気や水道などの光熱費を負担し続けるケースも。放火被害を受けやすいことから、火災保険の継続加入も視野に入る。

NPO法人「空家・空地管理センター」によると、東京23区を除く都内で空き家を維持管理する費用は年間20万~30万円にのぼるという。

「状況によっては親の医療費、介護費用の負担が重なる状況に陥ることもあり得る」。同センターの伊藤雅一理事(54)はこう指摘する。

所有権を持つ親の認知症が悪化した場合には、判断能力が問題となり、売却に向けた手続きが進まない可能性がある。新型コロナの感染対策で、対面での話し合いが制約されることも、事態を困難にする。

これらのリスクを回避するため、伊藤理事は「親に十分な判断能力があるうちに家族で話し合い、任意後見制度などの活用を検討するのも一つ」と話す。

売らずに人に貸す方法もあるが、老朽化した実家を他人に貸す場合、事前に改修する必要が出てくる。伊藤理事は「一定額の賃料が確実に得られなければ、投資した分の資金を回収するのが難しくなる可能性もある」と指摘する。

総務省の調査によると、平成30年の全国の空き家は約849万戸で、昭和53年の約267万戸のおよそ3倍で増加傾向にある。

■「どうする?」と聞いて

空き家をめぐっては政府は不動産登記法の改正に伴い令和6年4月をめどに、相続不動産の取得を知ってから3年以内の登記を義務化する規定を設置。正当な理由がないのに怠れば、10万円以下の過料を科すなど対策強化に乗り出す。

とはいえ、実家の所有権を持つ親が健在なうちに、話し合うことが重要だ。

「遠慮がいらない家族でも、親が元気なうちに『この家どうする?』とは聞きづらいと感じる人も多いかもしれない。それでも今やるか、10年後にやるかの判断によって、自らの負担を減らすことができる。10年後より確実に若く、フットワークの軽いうちに実家の今後の対応について考えてほしい」

伊藤理事はこう呼びかけている。

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