子どものいない人の相続
近年、少子化社会と呼ばれる日本において2024年1年間に生まれた日本人の子どもの数は68万6000人余りと、統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回ったことが厚生労働省の調査で分かりました。
また、男性・女性、2021年度の生涯未婚率・生涯独身率は日本では男性の約23.4%、女性の約14.1%が未婚です。 半世紀前の日本では、男女共に約2%が生涯未婚でした。 このことから、生涯未婚率の増加が伺え、今後さらに上昇すると予測されています。
実際に現在の日本において、子どものいない夫婦はどのぐらいいるのでしょうか? 国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によると、結婚してから5年~9年経過した時点で子どもがいない夫婦の割合は、1977年では4.2%だったのに比べ、2021年では12.3%という結果になっています。
このように家族構成が少人数になりつつある現代社会ではありますが、誰かが亡くなると相続手続きは必ずおこります。
⬛️相続の基本的な仕組み
●法定相続人の順位(基本ルール)
日本の法律、民法では、亡くなった方の財産(預貯金・不動産・家財など)は、次のような順で相続されます
| 順位 | 法定相続人 | 備考 |
| 第1順位 | 子(直系卑属) | 孫や曾孫も含まれます(代襲相続あり) |
| 第2順位 | 父母・祖父母(直系尊属) | 子がいないときのみ相続人になる |
| 第3順位 | 兄弟姉妹(およびその代襲者) | 子・直系尊属がいない場合に限る |
| 配偶者 | 常に相続人になる | 他の順位と“共同相続人”になる |
*上記の方がすべていない場合
→ 国が財産を引き継ぎます(国庫帰属)
●相続の基本パターン(子がいる場合)
配偶者がいるかどうかにより、相続の分け方が変わります。
◎ パターン①:配偶者と子どもがいる場合(最も一般的)
| 相続人 | 相続割合 |
| 配偶者 | 1/2 |
| 子ども(1人の場合) | 1/2 |
| 子ども(2人の場合) | 1/4ずつ(1/2 ÷ 2) |
| 子ども(3人の場合) | 1/6ずつ(1/2 ÷ 3) |
▶ 子どもが複数いる場合は均等に分ける
▶ 養子も法律上の子として同等に扱う(※制限あり)
◎ パターン②:子どものみ(配偶者がいない)
| 相続人 | 相続割合 |
| 子ども | 全部(均等) |
◎ パターン③:配偶者のみ(子・親・兄弟もいない)
| 相続人 | 相続割合 |
| 配偶者 | 全部 |
● 相続人がいない場合
相続人がいない場合、「相続財産管理人」という人を家庭裁判所が選び、相続財産を整理します。
関係の深かった方(例:内縁の配偶者、介護をしていた方など)が財産の一部を受け取れる可能性もあります(特別縁故者の申立て)。
●遺品の整理・手続きについて
•法定相続人が不明な場合、ご親族や関係者の方は無断で遺品の処分を行わないよう注意が必要です。
•相続に関する手続きや相談は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に依頼するのがスムーズです。
● 遺言書がある場合
遺言書の有無により、財産の分け方や手続きが大きく異なります。
封印された遺言書が見つかった場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所での検認が必要です。
⬛️子ども(直系卑属)がいない場合の相続の基本的な仕組み
●法定相続人の順位(子どもがいない場合)
日本の民法では、法定相続人に順位があり、先順位の者がいなければ、次順位の者が相続することになります。
| 順位 | 相続人の種類 | 備考 |
| 第1順位 | 子(直系卑属) | いない場合、次順位へ |
| 第2順位 | 父母などの直系尊属 | 存命なら相続権あり |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 直系尊属が全員死亡していれば相続権あり |
| 配偶者 | 常に相続人(順位に関係なし) | 常に相続権あり |
●子どもがいない場合の相続パターン
配偶者がいるか否かで変わります。
◎パターン①:配偶者あり、両親・兄弟なし
→ 配偶者が全て相続します。
◎パターン②:配偶者あり、親が存命
→ 配偶者:2/3、親:1/3 の割合で相続。
◎パターン③:配偶者あり、親が死亡、兄弟がいる
→ 配偶者:3/4、兄弟:1/4
◎パターン④:配偶者なし、親も兄弟もいない
→ 相続人がいない(=「相続人不存在」)
●相続人がいない場合
この場合、特別な手続きが必要になります。
相続人がいない場合、「相続財産管理人」という人を家庭裁判所が選び、相続財産を整理します。
関係の深かった方(例:内縁の配偶者、介護をしていた方など)が財産の一部を受け取れる可能性もあります(特別縁故者の申立て)。
**「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」の申立て**
法定相続人がいない場合に、法律上の相続人でなくても一定の関係性が認められた人、例えば被相続人(亡くなった方)の面倒をみていた人(例:内縁の妻、長年同居していた親族、看護していた知人など)が、家庭裁判所に申し立てて認められれば、財産の一部または全部を受け取ることができます。
**法律の位置づけ**
民法958条の3に規定されており、
**「相続人がいない場合に、特別な縁故のある者に相続財産を分与できる」**とされています。
◎「相続人不存在」の手続き
1. 家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立て
2. 官報公告による債権者・受遺者の捜索
3. 利害関係人・特別縁故者による申立て可能
4. 最終的に、相続財産は国庫に帰属(特別縁故者がいれば分与もあり)
●特別縁故者になりうる例(実際に認められる可能性がある人)
以下のような人が、特別縁故者として裁判所に認められることがあります:
| 関係性 | 具体例 | ポイント |
| 内縁の配偶者 | 婚姻届を出していないが、長年夫婦同然に生活していた人 | 同居期間・生活の実態が重視される |
| 看護・介護をしていた人 | 生前に介護・療養看護をしていた人(親族・友人等) | 継続性・実態があれば親族でなくても可 |
| 同居していた親族 | 甥・姪・いとこなど | 法定相続人ではないが深い関わりがあった場合 |
| その他 | 長年同居の友人、生活の支援をしていた人など |
◎特別縁故者になるための手続きの流れ
1. 相続人不存在が確定
•相続人がいないと分かった後、家庭裁判所に「相続財産管理人」を選任
•官報で公告し、相続人や債権者の申出を待つ(少なくとも6か月)
2. 特別縁故者の申立て
•相続財産管理人が選任されてから、6か月以内に家庭裁判所へ申立て
•被相続人との関係を証明する資料(住民票、写真、日記、手紙など)を提出
3. 家庭裁判所の審理
•縁故の深さ、生活状況、支援の実態などを元に裁判所が判断
•分与額や割合も裁判所が決定する(必ず全額をもらえるわけではない)
- 特別縁故者への財産分与
•裁判所の決定後、相続財産管
理人が財産を交付
◎注意点
| 項目 | 内容 |
| 期限 | 相続人がいないことが確定してから6か月以内に申立てが必要 |
| 全員が認められるわけではない | 裁判所の判断により、請求が却下されることもある |
| 財産の全部はもらえない可能性あり | 複数の特別縁故者がいた場合、按分されることもある |
| 専門家の関与を推奨 | 弁護士や司法書士による申立てサポートが望ましい |
●遺言書の重要性
子どもがいない人は、相続人が複雑になりがちです。そのため、遺言書の作成が非常に重要です。
遺言があると…
•誰に、何を、どれだけ遺すかを明確に指定できる
•相続トラブルを回避できる
•相続人がいない場合も、遺贈によって財産の行き先を指定できる
●不明な点がある場合
信頼できる専門家に相談しましょう。