今後の日本の死亡・社会構造はどうなるか
前回は長寿国日本の人口動態と年齢層による死亡原因などを見ました。
その中でも高齢者のガンによる死亡原因がトップを占めていました。
そういった背景を踏まえて、今後の日本の死亡・社会構造はどうなるかといった点をあくまでも予測ですが、専門職の目線で考えていきたいと思います。
1.死亡数は「ピークが続く時代」に
▶ 結論
日本の死亡数は、今後もしばらく高止まりから増加が続く
⚫︎背景
•団塊世代(1947〜49年生)が
→ 80代後半〜90代に集中突入
•85歳以上は
→ 老衰・心疾患・肺炎・がんが一気に増える年齢帯
⚫︎見通し
•年間死亡数
160万人前後の時代が「通常状態」
•一時的な減少はあっても構造的には減らない
2.さらに「超高齢者」へ
▶ 年齢構造の変化
•これからの死亡の主役は
75歳以上 → 85歳以上
•特に 女性の超高齢死亡 が増える
⚫︎結果として起きること
•老衰・心不全・肺炎がさらに増加
•「突然死」より長い経過を経た看取り型の死 が増える
・状況の変化
病院死亡 から施設・在宅死亡
•家族が「ある程度覚悟していた死」が増加
•しかし喪失感が軽いわけではない
3.がん死亡は「減らない・質が変わる」
▶ がんトップ5
•肺がん
•大腸がん
•胃がん
•膵臓がん
•肝臓がん
今後の変化
•膵臓がん・肺がんは依然多い
•高齢がん患者が増える
→ 治療を「しない選択」も増加
•がん=急死ではなく
「老衰と重なったがん死」
4.「家族の形」がさらに変わる
今後さらに増えるケース
•配偶者のみ・子どもなし
•兄弟姉妹も高齢・疎遠
•喪主不在・意思決定者が曖昧
5.「老衰」という死因がさらに意味を持つ
▶ 老衰死亡の増加が示すこと
•医療で「延ばさない死」を選ぶ人が増える
•延命より生活の質・尊厳重視
6.今後の日本社会を一言で言うと
「多死社会 × 高齢社会 × 家族縮小社会」
•死は身近にある
•でも一人ひとりの死の重みは軽くならない
•むしろ支える人が少ない分、専門職の役割が重くなる
まとめ
日本は今後、死亡数が高水準で続く「多死社会」に本格突入する。
死亡の中心は超高齢者となり、老衰・がん・心疾患が主流。
家族が小さくなる中で、専門職の力を活用するなど、どう対応していくかが重要。特に生前にできることを準備するのが重要。
多死社会を見据えた今後
Ⅰ.今後の日本は
✔ 超高齢化
✔ 単身・子なし世帯増加
✔ 家族関係の希薄化
✔ 医療・施設死の増加
✔ 経済格差の拡大
これにより
「調整・判断・手続き」が問題化する
Ⅱ.予測される困難事例
1️⃣ 相続人不在・喪主不明問題
■ 事例
•配偶者なし・子なし
•兄弟も高齢/疎遠
•甥姪が「関わりたくない」
•施設から「身寄りがない」と連絡
■ 問題
•死後の手続きする者がいない
•火葬許可申請等の手続き停滞
■ 対策
•市区町村へ相談
•成年後見人
•死後事務委任契約
2️⃣ 兄弟間対立・分裂家族
■ 事例
•「父(母)と疎遠だった」
•「勝手に決めるな」
•離婚再婚・腹違い兄弟
•家族内での介護負担の偏り
■ 問題
•誰が手続きや費用負担するか不明
■ 対策
•法定相続人から代表者一名を決定する
・遺言書を作成しておく
・死後事務委任契約をしておく
3️⃣ 費用トラブル
■ 背景
•高齢者の年金生活
•物価高
•子世代も余裕なし
■ 事例
•「こんなにかかるとは思わなかった」
•「最低限でいいと生前に言った」
■ 対策
•必須費用、選択費用、追加可能費用に分けて考える
•即決しない
•高齢喪主には同席者をつける
4️⃣ 孤独死・発見遅れケース
■ 背景
•単身高齢者増加
•地域交流減少
■ 問題
•発見遅れ
•近隣トラブル
•特殊清掃問題
•家族の罪悪感
■ 対策
•家族の強い自責や後悔の念、周囲への羞恥などを専門職の力を借りて軽減させる
5️⃣ 「何も決めていない」終末期
■ 事例
•延命希望不明
•宗教不明
•葬儀希望なし
■ 問題
•遺族が決めきれない
•判断疲労
■ 対策
・専門家による決定への支援
6️⃣ 遺族の感情
■事例
•疎遠による複雑な心理
•事務的
■ 背景
•長期介護疲労
•関係断絶
•複雑性悲嘆
■ 対策
・専門職による支援
Ⅲ.今後特に増える3大困難
1. 身寄り薄問題
2. 費用問題
3. 感情が複雑化した遺族
成年後見人や死後事務委任契約、遺言書作成など生前に対応できることをしておく
行政の助けを求めることもできる場合があるのでそれを活用する
Ⅳ.最重要ポイント
今後のトラブルは「孤立」「疲労」「不安」から生まれる。
専門職は単なる施行者ではなく遺族の混乱の整理役・サポート役である。 信頼できる専門職を選ぶのがポイントになる。
以上専門職の目線での予測ですが、将来を見据えた事前準備がポイントと言えます。