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遺言で寄付する方法

2025/04/02

自分の死後、残した遺産を自分の希望するところへ寄付したいと思った時、確実に実行させるにはどうすればいいのだろうか?

*方法*

①遺言書を作成する

②寄付先を決める

③具体的な寄付内容を明記する

④相続人の遺留分を考慮する

⑤弁護士や司法書士に相談する

それではそれぞれの項目を具体的にみていきます。

①遺言書を作成する (3種)

公正証書遺言(公証役場で公証人が作成)

公証役場で、公証人が作成する遺言です。遺言者が口述し、それを公証人が文書にまとめます。

作成手順

1. 遺言の内容を決める

2. 公証役場に事前相談(弁護士や司法書士に相談することも可)

3. 公証役場で公証人と2名以上の証人の立ち会いのもと、遺言を口述

4. 公証人が文書化し、遺言者・証人が内容を確認・署名捺印

5. 原本は公証役場で保管(遺言者は正本と謄本を受け取る)

メリット

✅ 法的に無効になるリスクがほぼない(公証人が関与するため)

✅ 紛失や改ざんの心配がない(原本が公証役場に保管される)

✅ 家庭裁判所の検認が不要(相続手続きがスムーズ)

デメリット

❌ 手続きが面倒(公証役場に行く必要がある)

❌ 費用がかかる(作成費用は遺産額に応じて数万円~数十万円)

❌ 証人が必要(親族は証人になれない)

自筆証書遺言(自分で書くが、法務局で保管も可能)

遺言者が全文を自筆で書く遺言です。法務局で保管することも可能です。

作成手順

1. 遺言の内容を決める

2. 全文を自筆で書く(財産目録はパソコン作成や通帳コピー添付も可)

3. 日付・氏名を書き、押印する

メリット

✅ 簡単に作成できる(紙とペンがあればOK)

✅ 費用がかからない(法務局保管の場合は手数料3,900円)

✅ 誰にも知られずに作成できる(公証役場や証人が不要)

デメリット

❌ 方式の不備で無効になる可能性がある(記載ミス・不明瞭な内容など)

❌ 紛失や改ざんのリスクがある(相続発生時に見つからない場合も)

❌ 家庭裁判所の検認が必要(遺言を有効にするために相続人が手続きする必要がある)

*法務局の遺言書保管制度(2020年施行)を利用すれば、紛失・改ざんのリスクを軽減できる。

・秘密証書遺言(自分で作成し、公証役場で証明を受ける)

内容を秘密にしながら、公証人の証明を受ける遺言です。遺言の内容は本人が作成し、公証役場で「遺言が存在すること」の証明を受けます。

作成手順

1. 遺言の内容を自筆やパソコンで作成し、署名捺印する

2. 遺言を封筒に入れ、封印する(封筒にも署名捺印)

3. 公証役場に持参し、公証人と証人2名の前で「これは自分の遺言」と宣言する

4. 公証人が「秘密証書遺言の存在を証明」し、封筒に証明文を記載する

メリット

✅ 内容を誰にも知られずに作成できる

✅ パソコンや代筆でも作成できる(自筆でなくてもOK)

✅ 公証人が関与するため、遺言の存在が証明される

デメリット

❌ 家庭裁判所の検認が必要(自筆証書遺言と同様に手続きが必要)

❌ 遺言の内容はチェックされないため、無効になる可能性がある

❌ 作成に手間がかかる(公証役場へ行く必要があり、証人も必要)

どの遺言書を選ぶべきか?

遺言の種類おすすめのケース
公正証書遺言確実に有効な遺言を残したい人、大きな財産を持つ人、寄付を確実に実行したい人
自筆証書遺言費用をかけずに手軽に作成したい人、法務局で保管できる人
秘密証書遺言遺言の内容を誰にも知られたくないが、公証人の証明を受けたい人

結論

確実に実行したいなら公正証書遺言が最適。

手軽さ重視なら自筆証書遺言+法務局保管。

秘密証書遺言はあまり使われない。

特に寄付を含める場合、遺言の無効リスクを避けるため、公正証書遺言が推奨されます。

②寄付先を決める

•公益財団法人、特定非営利活動法人(NPO)、大学、病院など

•ふるさと納税の一環で自治体に寄付することも可能

③具体的な寄付内容を明記する

•「○○財団に△△円を寄付する」など、金額や資産(不動産、株式など)を明確に記載

④相続人の遺留分を考慮する

•相続人には最低限の取り分(遺留分)があるため、遺留分を侵害しない範囲で寄付を設定

*遺留分(いりゅうぶん)とは?

     遺留分とは、法定相続人が

    最低限確保できる相続財産の

    割合です。

    被相続人(亡くなった人)が遺言

    で全財産を第三者に譲ると書いて

    も、相続人には一定の取り分が保

    証されているという仕組みです。

1. 遺留分がある相続人

遺留分を請求できるのは、配偶者、子(直系卑属)、父母(直系尊属)のみです。

❌ 兄弟姉妹には遺留分はないので、遺言で「財産を渡さない」と指定されると、それに従うしかありません。

2. 遺留分の割合

遺留分は、相続人の立場によって異なります。

相続人の組み合わせ遺留分の割合(遺産全体に対する割合)
配偶者のみ1/2
配偶者+子(1人または複数)1/2(子全員で1/4、配偶者1/4)
子のみ(1人または複数)1/2(子全員で分ける)
配偶者+父母1/2(配偶者1/3、父母で1/6)
父母のみ1/3(父母で分ける)
兄弟姉妹のみ0(遺留分なし)

 子や配偶者がいる場合、父母の遺留分は発生しない

遺留分を侵害すると、相続人は「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」ができる

3. 遺留分侵害額請求とは?

遺留分を侵害された相続人が、遺贈や生前贈与を受けた人に対して「自分の遺留分を取り戻す」ために請求できる権利です。

期限:相続開始を知ってから 1年以内(知らなくても10年で時効)

請求方法:相手に 内容証明郵便 などで通知する

請求できる範囲:不足分の金銭(昔は現物返還もできたが、2019年の改正で金銭のみになった)

4. 遺言で寄付する場合の注意点

遺産を寄付する場合、遺留分を考慮しないと、相続人とのトラブルになる可能性があります。

例:総額1億円の遺産を全額寄付した場合

•相続人が「配偶者+子1人」の場合  •遺留分:1/2(5,000万円)

•5,000万円を超える寄付をすると、相続人が請求できる

対策

✅ 遺留分を考慮した遺言を作成する(例:相続人の遺留分を確保した上で寄付)

✅ 生前贈与で少しずつ寄付する(10年以上前の贈与は遺留分算定の対象外)

✅ 相続人に納得してもらう(生前に説明し、トラブルを避ける)

✅ 遺言執行者を指定する(遺言の実行をスムーズにする)

5. 遺留分に関する裁判例や実務の注意点

・遺留分侵害額請求を受けると、遺言で寄付された財産が減る可能性がある

・寄付先が公益法人でも、遺留分請求は可能

・一部を相続人に残しつつ、寄付を行う「折衷案」が現実的

まとめ

✅ 遺留分は相続人の最低限の取り分(配偶者・子・父母のみ)

✅ 遺言で寄付する際は、遺留分を侵害しないように調整が必要

✅ 遺留分侵害額請求を受けると、寄付の金額が減る可能性あり

✅ 対策として、生前贈与・遺言執行者の指定・相続人との事前相談が有効

「確実に寄付したい」なら、公正証書遺言+遺留分対策が必須!

⑤弁護士や司法書士に相談する

•法的に有効な遺言書を作成するために専門家のアドバイスを受ける

最後に遺産を寄付をするメリットとデメリットについて考えてみます。

メリット

社会貢献ができる(自分の遺産を有意義に活用)

税制優遇がある(公益法人などに寄付すると相続税が軽減される)

遺産の使い道を指定できる(目的を明確に指定することで意志を残せる)

デメリット

相続人とのトラブルの可能性(遺留分を侵害すると争いの元になる)

手続きの手間(公正証書遺言などを作成する必要がある)

寄付先の経営状況の変化(将来的に寄付先が存続しているか確認が必要)

総括

遺言での寄付は、事前準備をしっかり行えばスムーズに進められます。相続人とのバランスを考えながら、専門家に相談すると良いでしょう。

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